私が[建築]をめざすきっかけとなった丹下健三氏は、今年の3月22日に91歳で逝去された。ご冥福をお祈りいたします。一度もお会いする機会はなかったが、やはり常に多大な影響を受けた一人といえる。
1973年、都市計画と建築設計の違いもわからず京都大学の建築学科に入学した。「東京計画1960」の模型写真に惹かれたのは、造形的な美しさに負うところが大きかったように思う。大学での設計課題でも、丹下健三氏設計の広島平和記念陳列館の影響を受けた作品を提出したことを思い出す。建築学科の講座は、当時から建築計画、建築史、構造、環境工学、施工等多岐にわたるが、私はその中から「建築意匠」の講座に進んだ。その担当教授が、私が「建築家」を目指すきっかけとなった増田友也教授である。