マラソン中継は普段から楽しみにしている。特に海外の中継は都市の風景が見られるという楽しみも加わる。最近は上空からの映像もあり、都市の構造が把握しやすい。今回のヘルシンキ世界陸上のマラソン中継も最初からずっと見ていた。スポーツ観戦の立場から言うと、2時間以上も淡々と走っている場面を見続けるのは、正直なところライブ中継でないと辛いところがある。誰が勝ったか結果がわかっていて2時間も変化の少ない画面を見るのは苦痛だが、ライブだといつ誰が仕掛けてどういう展開になるかと、いつのまにかのめり込んでしまう。サッカーのゴールシーンのような美しさは無いが、筋書きの無いドラマが期待できるからだ。さらに変化の少ない分、マラソンコースの風景を楽しむ余裕があるのがちょうどよい。最近のオリンピックでシドニーやアテネの町の中を走った時も、観光ガイドとは一味違った生活感のある映像が見られたのに満足した。
今回のヘルシンキは、町のスケールが人間が生活するのにちょうどよいのではないかと思った。
程よい高さの建物が、緑の中に配置されていて、ゆったりとした余裕のある生活が想像される。
技術的には超高層建築を建設することは可能であるのに、その必要を感じない都市の構造や規模が羨ましい。自分達の住む都市に対する誇りと愛着があるのだろう。
このような風景が限定された公園ではなく都市のあちこちになにげなく存在していることが、マラソン中継だけからも想像出来た。建築行脚の旅として、次はぜひ北欧に行きたいという以前からの希望がさらに強くなった。