5月9日の日経新聞朝刊の「交遊抄」に、ファッション・デザイナーのコシノヒロコがよきライバルとして、建築家の安藤忠雄を取り上げている。私も安藤忠雄の作品には刺激を受けることが多く、注目している建築家であるが、ちょっと違和感を感じる作品に出会った。
仙川にある安藤ストリートと呼ばれるところだ。都市計画道路で分断された敷地の道路両側に安藤忠雄が、劇場、美術館、集合住宅、商業施設を設計したものだ。
現在のところ、集合住宅の1階部分の商業施設は、半分以上空いた状態で、活気がない。
単調な繰り返しが長く続きすぎて、楽しさが感じられない。
一番大きな原因は、道路に面した美術館、劇場の壁面が、町並みに対して、あまりにもストイックな表情をしていることだ。コンクリート打ち放しのグリッドを意識した延々と続くファサードは、表参道ヒルズと共通するところがある。仙川の開口部には摺りガラスが入っていて、内部の状況は伺い知れない。
公園の中に建った美術館・劇場であるならば、美しいものだと思うが、歩道ギリギリに延々と続くと刑務所の塀と似たものになる。私の訪れたときはまさにゴーストタウンだった。
単純な美しさが、単調になっていると感じた。