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今年のセンター試験の現代国語の第1問は、哲学者であり、大阪大学学長の鷲田精一氏の「身振りの消失」から出題されていた。文章の内容は、現象学的アプローチによる身体論に基いた住宅論とでもいえるもので、建築を設計するものからみると、興味深い文章である。20万人の受験生がその文章を読んだのだが、試験の題材だけで通り過ぎるには、あまりにももったいない内容である。
住むひとのいなくなった木造の民家をほとんど改修もせずに使う「バリアフリー」からは程遠い高齢者のグループホームの施設を例にとって、暮らすということの意味を考え直している。 「からだが家のなかにあるということは、ただ、物理的な空間の内部に身体が存在するのではなく、人間の身体が空間やその空間にいるひとびとと互いに関係しながら、みずからの身体の記憶に促されることでふるまいを決定していくことだ。」 「「バリアフリー」に作られた空間ではそうは行かない。人体の運動に合わせたこの抽象的な空間では、からだは空間の内部にありながらその空間の<外>にある。からだはその空間にまだ住み込んでいない。」 「木造家屋を再利用したグループホームという空間では、そこで暮らす者にとって、身に付いたふるまいを残しつつ、他者との出会いに触発されて新たな暮らしを築くことが出来る。」 「住宅は「暮らし」の空間である。「暮らし」の空間が他の目的を明確にもった空間と異なるのは、そこでは複数の異なる行為がいわば同時並行で行われることにある。暮らしのいろいろな象面が互いに被さりあっている。これが住宅という空間を濃くしている。」 「現在の住宅では、仕事部屋や子供部屋など目的ごとに空間が切り分けられており、それぞれの用途とはかかわらない複数の異なる行為を同時に行ったり、他者との関係を作り出したりするような可能性が低下してしまっている。」 「かつての木造家屋には、いろんなことがそこでできるという、空間のその可能性によって、体を眠らせないという知恵が、ひそかに挿し込まれていた。木造家屋を再利用したグループホームは、たぶん、そういう知恵をひきつごうとしている。」 現象学的アプローチは、学生・大学院時代に所属していた研究室で勉強したので、今回の文章を読んで懐かしい気がした。実務の設計では単なる機能性のみで設計するということはないのだが、かといって精緻な記述をして考えるという機会もなかったので、これを機会に初心に戻って考えるきっかけにしよう。
by makodaira
| 2011-01-20 16:11
| 建築
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