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東北大震災の当日は木造住宅の棟上げの最中だった。
まさに棟を上げるために、クレーンの腕を最大限に伸ばして梁を吊り上げていたときだった。 地面がうねるように揺れて、じっと立っていることが困難だった。 本体の木軸は仮止めしながら組み立てていたので、問題はなかった。 躯体に上がっていた職人も無事地上に避難できた。 ただ、クレーンの腕は大きく揺れたままで、畳むこともできず、転倒しないか心配だった。 郊外の広い敷地で、外部からの情報に乏しく、世の中がこんなに大変な状況だとは知らずに、 揺れが収まってから上棟式を行った。今から思えばのんきなものだった。 先週末にもうひとつ上棟式があった。 こちらは鉄骨5階建てで、スカイツリーがよく見える場所に建つ。 浅草が地元なので、上棟式もしっかりと行った。 五色の幟(のぼり)と天に向けた鏑矢(かぶらや)と 地に向けた雁股矢(かりまたや)を弓につがえた状態で掲げている。 五色の幟(紫・黄・赤・白・青)は天地万物を組成している5つの要素 「木・火・土・金・水」を表すという説や、東西南北及び中心(人)を表しているという説がある。 鏑矢は、矢の先端に取り付ける矢じりが矢を射った時に鋭い音響を発する仕掛け道具で、 形がかぶらに似ている。 鏑矢は、天の矢・陽の矢とされており、古来より厄災や不祥を祓い除くものとされている。 雁股矢は矢じりの先を二股にし、その内側に刃をつけたもので、 飛ぶ鳥や走る獣の足を射切る際に用いたと言われている。 雁股矢は地の矢・陰の矢とされており、古来より厄災や不祥を祓い除くものとされている。 上棟式は、四方祓いを行い、乾杯、歓談の後、建て主の相撲甚句の祝歌の披露があり、 鳶棟梁の木遣歌で中締めとなった。 法被姿の職人が勢揃いしたなか、木遣歌を聞くのは、最近では珍しく、なかなか感動的だった。 建物からは、スカイツリーやアサヒビールの金のオブジェもよく見える。 目の前の隅田川からは花火が打ち上げられる。今年の隅田川の花火はどうなるのだろう。 東京湾花火大会等が中止を発表したなか、江戸時代の大飢饉の犠牲者への慰霊と悪病退散を 祈って隅田川で水神祭を行った際に、花火を打ちあげたという由来からも、 ぜひ実施して欲しいと思う。
by makodaira
| 2011-05-09 15:44
| 建築
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