上信越自動車道の上田菅平インターの東京寄りのところに、通称「上田ローマン橋」と呼ばれる全長714.5m、アーチの数が20ケの鉄筋コンクリート橋がある。鉄筋コンクリート橋としては日本で最長だとか。平成7年には上田市都市景観賞(特別賞)も受賞しているこの橋を今までに何度か車でその上を通過していたのであるが、その美しいアーチ橋にはまったく気づかないでいた。11月5日に近くの敷地での地鎮祭に参列する機会があり、その敷地から遠くに連続アーチを望むことが出来た。

上の写真の手前の部分は、川を跨いでいる部分で、アーチの部分の湾曲したコンクリート版がきれいに見えている。

地上部分の橋のデザインは、アーチの足元から垂直に伸びたリブ状の壁が強調されたデザインになっている。これでは道路をアーチで支えているという意味が薄れるし、アーチの連続感を分断することになるので、私だったら垂直のリブは強調しないだろう。
コンクリート橋といえば、学生時代に読んだギーディオンの「空間・時間・建築」に載っていたマイヤールのザルギナトーベル橋を思い出し、埃をかぶった本を引っ張り出してみた。

ローマ時代の水道橋を思わせる上田連続アーチ橋のリズム感とスイスの渓谷を実にスマートに跨いでいるこの橋とを同じ次元で比較することは出来ないが、贅肉の無い構造体の緊張感は、彫刻としてみても心を動かすものを持っていると今あらためて思う。