風薫る新緑の新宿御苑の「楽羽亭」において大寄せのお茶会が催された。
「楽羽亭」は茶室の研究や設計の権威である中村昌生先生の設計によるもので、
寄付、広間、立礼席と小間が機能的に設けられている。
お客様には、点心と濃茶、薄茶を2服味わっていただき、
それぞれの席の合い間には、新宿御苑の新緑や鳥のさえずりを
楽しんでもらえるという設定だ。
私は広間の薄茶席の担当。
去年の秋のお茶会に続き、お客様の前でお点前をするのは2度目ということもあり、
なんとか無事に終えることができた。
掛け軸は、「雲無心出岫」(雲は無心にして、岫をいづ)
雲は山の洞窟から自然にむくむくと湧き出るという意味だ。
棗は、「紫陽花蒔絵」
茶杓の銘は、「一滴(ひとしずく)」
自然そのものの、無心の境地をいうことによって、裏返しで、
煩悩にまみれた不自然な生活をしている己を見つめなおすことを促されている気がした。